壊色

今日も戦場へと赴いた。

相手は小さな部隊だった。けれど手加減などはしない、獅子はいつだって兎ですらも全力で狩るものだ。
秘石眼の力を少し使っただけで部隊の影は跡形も無く消し飛び。その場に残ったものは、抉れた土と血生臭い匂いだけだった。

秘石眼の力を使った日は色んなものが色褪せて見えた。
趣味で集めた有名な絵画、部屋に置かれているアンティークの家具や小物、どれも金額も惜しまず手に入れたものだが、今はどれもがガラクタに見える。

こんな日は、いつにも増してジャンに逢いたくなる。
彼の顔を見たい、彼の笑顔を見たい。
そう思っていると、いつもタイミング良くジャンは私の部屋へと姿を現した。



部屋にノックの音が響く。
私室のソファーに身体を預けたまま、扉に視線を投げ相手が誰であるかなど確認もせず、「入りなさい」と声を掛けた。
来たのは彼に違い無いと思っていたから確認をする必要を感じなかったからだ。

「失礼します」

凛とした聞き慣れた声の後に、扉が開く。
部屋へと顔を覗かせたジャンは、ソファーで寛いでいる私の姿を見つけると軽く会釈をしてから部屋に入り、静かに扉を閉めた。

「ジャン、君に逢いたいと思っていたんだ」

扉に佇むジャンを手招きすれば、一瞬躊躇したものの素直に私の傍へと近付いて来る。
ソファーの横に立ったジャンの手を取り、強引に引き寄せて抱き締める。
ジャンは座ったままの私の膝の上に跨る状態になり、まだ少年らしさの抜け切らない彼の身体を強く抱く。
今日みたいな日は何故か加減が利かない、私の抱き締める手が苦しいのか、ジャンが小さく呻くのが聞こえた。

「っ…総帥、どうされたんですか?」
「何も無いよ、ジャン、逢いたかったよ」
「…俺も、逢いたかったです」

ジャンの手が背中に回って来てそのまま軽く撫でられる。
そうしてやっと力を込め過ぎていた手を緩める事が出来た。

「マジック総帥、今日も部隊を一つ潰しました…?」
「そうだよ、どうして解ったんだい」
「勘でしょうか、そういう日はいつもと違いますから」

ジャンは苦笑を浮かべて私を見る。
見たいのは、こんな顔じゃなくて、笑顔を見たいのに。
チリ、と胸の奥に微かな火花が鳴る。

私の上に跨っているジャンの上着に手を掛ける。

「総帥…?」
「我慢出来ないんだ」

「え?」とジャンが言ったと同時だっただろうか、ジャンの上着を強引に剥ぎ取り、シャツへと手を伸ばす。

「マジック総帥!?」

驚くジャンの声を無視し、シャツをボタンごと引き千切った。
布の裂ける音が部屋に響き、弾けたボタンが空を舞い、柔らかな絨毯の上へと音もなく転がった。
裂けたシャツを利用し、そのままジャンの両手を後ろ手で縛り身動きが取れないようにする。驚きに揺れるジャンの目に、申し訳ないという気持ちは湧かず。その目に逆に興奮を覚えた自分に気付く。
身体の自由を奪ったジャンをソファーへ押し倒し上から見下ろせば、視線は更に揺れる。
露わになった美しく鍛えられた胸の筋肉を確かめるように筋を指先でなぞり、胸の突起を軽く押し潰せば、ジャンの目には驚きと共に恐怖の色が浮かんだのを見逃さなかった。
その顔に、煽られるように身体が瞬時に熱くなった。

「マジック総帥、やめて下さい…!」
「無理だよジャン、無理だ…」

うわ言のように呟けば、制止の言葉を吐き続ける唇に噛み付くようなキスをした。






「うぅ…あっ!」

足を割り開き、胸に付かんばかりに体重を掛けて身体を貫く。
幾度目か解らない自分の自身から吐き出された熱でジャンの身体は濡れ、汗と混ざり合っていた。
私からの熱も何度も受け止めてしまっている秘部からは、ぐちゃぐちゃと淫猥な音を立てる。ジャンの顔も涙や口端から零れる唾液などで汚れ、表情は快楽を通り越し、身体には痛みしかないようだ。
先程から痛みを訴える様に耐える様に唇を噛み締め、引き攣った声を漏らしている。
そして私はその姿に興奮してしまっている。

いつもは大事にしたいと、この笑顔を守りたいと思っている相手なのに。
自分の下で苦痛を織り交ぜながら喘ぐ姿に、欲望は治まらない。

もっとぐちゃぐちゃにしたい。
めちゃくちゃに、しかしこれ以上は彼が壊れてしまうんじゃないか。
けれど限界まで貪りたい。

加減も出来ないまま、欲望のままにジャンの身体を突いた。
何度も身体を重ねている為、彼の弱い場所は熟知しており、時折弱い場所を突き上げれば悲鳴に近い声を上げ、吐精をするが。その色は薄く、量も随分と少なくなっている。
それでもジャンは身体を痙攣させ、綺麗に割れている腹筋を上下させて私の自身を締め上げる。
その締め付けに私も限界を感じ、ジャンの腰を両手で固定すると、彼の中に欲望を放つ為に容赦なく突き上げる。
後ろ手に縛られている為、身体を支える事も出来ないジャンは私が律動する度にがくがくと揺さぶられている。
そして最後にジャンを抱き上げ、最初に抱き締めた時のようにジャンを上に跨らせた状態で最奥へと熱を放った。

「あ、あっ…まじっく、そ…すい!」
「ジャンっ」

全てをジャンへ注ぎ込む。
涙や汗でぐしゃぐしゃになってしまっているジャンに口付け、強く抱き締めた。




「ジャン、ジャンすまない…」

暫くジャンを抱き締めた後、彼の秘部から自身を引き抜いた。
繋がったまま何度も吐精した所為でジャンの秘部から次々と白濁が溢れ出す。

「う、く…ぅ…」

ジャンは軽く咳き込み、苦しげに声を漏らしながら私の首に縋り付いた。
背中を撫でると、ほっと安堵の息が耳元で聞こえて来る。

「よかった…いつものマジック総帥ですね…」
「ジャン…私は酷い事を…」

ジャンはゆるゆると首を横に振る。そして。

「マジック総帥の役にたてたなら、これくらい…平気です」

そう言って笑顔を見せる。
その笑顔を見て、私は泣きだしてしまいそうだった。

「ジャン…!」

壊れないようにそっと抱き締めれば、ジャンは私の頭を抱いて優しく髪を撫でた。










マジジャン…。
何かすみませんでした。マジで…orz