電気も点けていない薄暗い部屋の中、俺はベッドに腰掛け両手で頭を抱えていた。
ベッドの中央には、ジャンが横たわっている。
ジャンは、顔を涙で濡らしたまま気を失っている。
ジャンを抱いてしまった。
それも無理矢理。
腕を縛り上げ、身体を押さえつけた。
正直、俺の理性はぶっ飛んでた。
今更後悔したって遅いのだけど。
「今考えても纏まるわけねぇな・・・」
俺は深い溜息を一つ零し、ベッドから立ち上がると洗面所へと向かった。
乾いたタオルと濡れたタオル。両方を数枚用意してジャンの元へと戻る。
今だ、拘束したままにしていた腕からベルトを外し手首を確認してみる。
薄らとだが、痕が付いている。タオルで縛れば良かったとまた別の意味での後悔が頭を過ぎる。
自分の頭をガシガシと乱暴に掻いてから濡らしたタオルを手に取る。恐る恐る、顔から徐々に下肢へと向かって俺にしては丁寧に身体を拭いていく。
一番、ダメージが大きかったであろう部分へと辿り着く。確認するのは怖かったが、無茶をしてしまったのは自分だ。
ゆっくりとジャンの両脚を左右へと開けば、そこは自分の白濁と、無理な挿入の為切れたのだろう。血が滲み、白いシーツに何とも形容し難い染みが付いていた。
それを見て俺の眉間には深く皺が刻まれる。
何て馬鹿な事をしたのだろう。
後悔と自責の念に苛まされながらもジャンの身体を隅々まで拭いてやり、相手のシャツは俺が破いてしまったので。代わりに俺の衣服をクローゼットから引っ張り出して身に着けさせた。
ジャンが目を覚ます気配は無い。
俺は一息吐くと、額に滲んできた汗を手の甲で拭い立ち上がった。
ジャンに布団を被せ、そのままバスルームへと向かう。
先程の雨のような、地面に水滴が叩きつける音がバスルーム内へと響き渡る。
頭を冷やそうと思い、勢い良く出る水を被りながら目を閉じる。
どうしてあんな事をしてしまったのだろう。
俺はどうにかなってしまったんだろうか。
さっきからこうして同じ事ばかり思っている。
ジャンを抱いた。でも、どうして抱いてしまったのか自分でした事が解らなかった。
「ちょっと興味をそそられただけだ・・・」
そうだ、きっとそうに違いない。でなければあんな事・・・。
団内では珍しい、漆黒の髪。黒い目。
ずぶ濡れのままの途方も無い姿に、淋しげに弟の名を呟いたあの声。
それが、俺を狂わせてしまったんだ。
そう思い込みながら、尚も水を浴び続ける。
相手の所為にして逃げてしまえば自分が楽だったから。
だから無理矢理そう思い込もうとしていた。
30分位だろうか、流石に身体も冷えてきた。
俺はシャワーを止めてバスルームの外へと出る。バスタオルを取ると乱暴に身体を拭いて適当な服を見つけて身に着けた。
そして、まだジャンが寝ている筈だった部屋へと戻ってみると。
予想した光景は目に入らなかった。
ベッドで眠っていたジャンは姿を消しており、乱れたシーツと彼が先程まで横たわっていた温もりだけを残し居なくなってしまっていた。
俺は先程までジャンが居た筈の場所を眺めて、唖然と立ち尽くすしか無かった。
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ハーレムが頭弱そうですいません。
しかもうちのハーレム小心者?ジャンを気遣って身体とか拭いてますね。
まだ続きます・・・orz もう暫くお付き合い下さいませ・・・!